死刑執行に対する抗議および死刑執行停止の要望
法 務 大 臣
吉川 禎久 殿
死刑執行に対する抗議および死刑執行停止の要望
「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。御子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである」(ヨハネによる福音書3章16節)。
私たちは、7月26日に執行された加藤智大死刑囚の死刑執行について、強く抗議し、今後死刑を執行しないように要望します。
私たちは、かけがえのない人間の命を奪う権利は誰にもない、と確信しています。
犯罪者の命を奪うことは、犯罪者が人の命を奪った行為の反復であり、これを認めれば、私たちは次の世代に「命を大切に」と語る資格を失うことになります。
また、私たちは、「死刑は何も解決しない」と考えます。「死をもって報いる」死刑は社会に暴力の精神を育てるだけであり、犯罪の抑止には決して繋がりません。死刑は教育刑として刑罰に矛盾し、また冤罪の可能性や、裁判員や執行人たちに一生の心の傷を残すことからも、認めることのできないものです。
死刑で遺族の心を真に癒すことはできません。私たちは、暴力の連鎖を断ち切り、「仕返しの精神」を社会から根こそぎにし、教育刑の徹底によって、加害者と被害者の間に、真の和解がもたらされることを望みます。私たちはあくまでも、自分の犯した罪を認め、反省し、真の謝罪をし、赦しを求める機会を犯罪者に与えること、犯罪者の更生と改心へとつながる、死刑以外の懲罰の方法を見出すことを求めます。
以上のことから、今回の死刑執行に強く抗議し、今後、死刑執行を行わないように、強く要望します。
2022年8月29日
カンバーランド長老キリスト教会日本中会
神学・社会委員会 委員長 関伸子
死刑執行抗議文(PDF形式でダウンロードできます。)