岸田首相による伊勢神宮参拝に抗議します
岸田首相による伊勢神宮参拝に抗議します
内閣総理大臣
岸田文雄殿
2022年1月4日に貴殿は、首相就任後初めて伊勢神宮を参拝し、神宮司庁における年頭の記者会見を行いました。
歴代首相による年頭の伊勢神宮参拝と、その後の神宮司庁における政府の記者会見が、あたかも新年の恒例行事であるかのように行われています。私たちカンバーランド長老キリスト教会日本中会神学・社会委員会は、このことに対して「伊勢神宮参拝をしないように」要請します。理由は以下の通りです。伊勢神宮は、全国に 8 万といわれる神社を包括する宗教法人神社本庁の「本宗」で、皇祖神とされる「天照大神」を祀る宗教施設です。1869年の明治天皇の参拝から 1945年の敗戦まで、国家神道の中心的存在であり、政府が宗教を利用し、国民の思想を統制した国家神道 体制の負の歴史を背負っています。
ことに伊勢神宮は、靖国神社とともに、かつて日本が犯した侵略戦争と植民地支配推進の精神的支柱でありました。そのような歴史を持つ伊勢神宮に貴殿が参拝することは、かつての侵略戦争と植民地支配を肯定し、軍国主義の復活を彷彿とさせ、再び、アジア諸国に脅威の念を抱かせるばかりでなく、アジア諸国に対する謝罪と悔い改めを表明している者らの善意をも踏みにじる行為であります。
また、このような宗教施設に首相が参拝を続けることは、一宗教法人である伊勢神宮と政府とが特別な関係にあり、参拝が内閣にとって不可欠なものとの印象を与えるものであり、日本国憲法第20条3項の政教分離の原則に違反しており、厳に戒められるべきです。戦後は1955年に鳩山一郎首相の参拝にはじまり、その後、しばらくは途絶えたものの、1965年1月4日に佐藤栄作首相が参拝をして以降、1995年の村山富市首相を除き、首相の伊勢神宮参拝が繰り返されてきました。 私たちは、憲法に反する行為が継続して繰り返されている現状を深く憂慮します。岸田政権においては悪しき前例に倣わず、憲法を遵守し、年頭の伊勢神宮参拝を行わないよう切に求めます。
私たち、カンバーランド長老キリスト教会日本中会神学・社会題委員会は、この度の、貴殿の伊勢神宮参拝に対して強く抗議すると共に、今後、伊勢神宮や靖国神社その他諸神社への参拝だけでなく、一切の特定宗教への関わりをしないよう、抗議いたします。
2022年1月24日
カンバーランド長老キリスト教会日本中会神学・社会委員会
委員長 関 伸子
岸田首相による伊勢神宮参拝に抗議します(Word形式でダウンロードできます。)