「安全保障関連法」の廃止を求める声明
内閣総理大臣 安倍晋三様
2015年9月28日
カンバーランド長老キリスト教会日本中会
神学・社会委員会委員長 瀬底正博
「安全保障関連法」の廃止を求める声明
私たちカンバーランド長老キリスト教会日本中会は、昨年6月に集団的自衛権の行使容認に反対する文書を首相に提出し、本年8月には安全保障関連法案の廃案を求める声明を出しました。私たちを含め多くの国民の反対の声を一顧だにせず、衆議院および参議院特別委員会での強行採決を重ねた末に、9月19日未明に安全保障関連法を「成立」させたことに強く抗議するとともに、同法の廃止を求めます。
私たちは、神によって造られた人間のいのち、基本的な人間の尊厳を大切にする者として、基本的人権を尊重し、武力によらない平和主義を掲げ、国民主権に立脚する日本国憲法を誇りに思っています。しかし、安全保障関連法を「成立」させたことは、日本国憲法と、為政者は憲法によって許されたことしかできないとする立憲主義を蹂躙し、破壊する行為と言わざるをえません。
集団的自衛権を行使できるようにすることを眼目とする安全保障関連法案は、大半の憲法学者や歴代内閣法制局長官、さらには最高裁判所元長官などが指摘したように、明らかに憲法に違反しています。にもかかわらず政府は「成立」を強行し、立憲主義に立つ法治国家であることを否定する行為に走ってしまいました。
国会の審議においても、法案を必要とする「事実」の存在しないことが明らかになったり、答弁の矛盾、曖昧さが露呈してもはぐらかすなど、国会を軽視し、議会制民主主義を愚弄する態度に終始しました。特に参議院の特別委員会では、議事録になんの記載もないのに5件の「採決」が行なわれたとし、この無効な「採決」をもとに本会議で法案を「成立」させてしまいました。また、公聴会の意見を国会の審議に反映させないことも含め、多くの国民の声に耳を傾けないことは終始一貫していました。
そして何よりも、安全保障関連法は、アメリカの軍事行動に切れ目なく協力・支援することをはじめ、日本を「いつでも、どこでも戦争ができる国」とするものであり、日本国憲法の平和主義に真っ向から対立するものです。
このように立憲主義に抗い、民主主義を否定し、日本国憲法の平和主義を破壊する安全保障関連法を私たちは容認することができません。何よりも、神が「不必要な苦しみや死を引き起こす悪」としての戦争を「忌み嫌われる」との信仰に立つ者として、戦争に道を開くこの法制にはあくまでも反対をします。
そしてそもそも、参議院特別委員会の「採決」は実際には存在しないものであり、参議院での「採決」は無効と考えます。それ以前に、憲法違反の法律は無効であると考えます。
このような安全保障関連法を一刻も早く廃止することを強く求めます。