安部首相の靖国神社参拝に断固抗議します
内閣総理大臣安倍晋三殿
2014年 1月 11日
カンバーランド長老キリスト教会日本中会
議長荒瀬牧彦
神学・社会委員会委員長瀬底正博
安倍首相の靖国神社参拝に断固抗議します
安倍首相が、靖国神社に、 2013年の春季および秋季例大祭には真榊を、 8月 15日には玉串料を奉納したことに止まらず、 12月 26日に同神社に直接参拝したことに対して、私たちは断固として抗議します。
宗教法人である靖国神社に内閣総理大臣が参拝することは、「国及びその機関」に「いかなる宗教活動も」禁止している日本国憲法第 20条の「政教分離原則」に明らかに違反しています。これは、小泉純一郎元首相の靖国神社参拝を「違憲」と判定した 2004年の福岡地裁判決や 2005年の大阪高裁判決が示しているとおりです。同時にこの行為は、憲法第 99条の「公務員の憲法尊重擁護義務」にも違反しています。
日本国憲法が厳格な「政教分離原則」をとり、「信教の自由」を保障するのは、かつて日本が「国家神道」体制の下で信教の自由を始めとする人権を蹂躙した深刻な経験への反省に基づいていますが、私たちキリスト者は、その犠牲になっただけでなく、その体制の中で流されて過ちを犯し、さらにはアジアの仲間に神社参拝を強要することに加担してしまったことの痛切な悔い改めに立って、このことを大切にしてきているのです。
それとともに私たちは、安倍首相の靖国神社参拝は、「平和を愛する諸国民の、公正と信義に信頼して」平和を築いていこうとする日本国憲法の平和主義に真っ向から挑戦する行為であると考えます。
安倍首相は参拝後に発表した談話で、「不戦の誓いを堅持していく決意を新たにし」、「二度と戦争の惨禍によって人々が苦しむことの無い時代をつくらなければならない。(中略)と、誓ってまいりました」と述べています。しかし、靖国神社は、天皇の軍隊の戦死者を「英霊」として祀って顕彰することにより、国民に「君国」のために命を献げるよう促す役割を果たし、台湾・朝鮮などの植民地支配とアジア・太平洋の国々に甚大な被害をもたらした侵略戦争の精神的支柱となった施設です。そのような靖国神社を特別に大切にする姿勢は、「不戦の誓い」と相容れるものではありません。
国家安全保障会議を創設し、特定秘密保護法を強行採決し、武器輸出三原則を骨抜きにし、集団的自衛権行使の容認に向けて動いている流れの中での靖国神社参拝は、自民党「日本国憲法改正草案」が目指している「自由に戦争のできる国家」づくりに邁進しようとする決意の表われと考えるほかなく、断じて容認することはできません。過去の過ちを直視せず、力にたのむ国家運営に、中国や韓国などから強い批判が巻き起こっているのは当然の成り行きです。
安倍首相には、歴史を真摯に学び直し、靖国神社とは距離を保ち、軍事力に頼るのではなく「公正と信義に信頼して」平和を築く努力をされるよう強く求めます。