安倍晋三元首相の「国葬」決定抗議声明文
-- 2022.09.01 --内閣総理大臣
岸田 文雄 殿
安倍晋三元首相の国葬に反対します
2022年7月8日、安倍晋三元首相が参議院選挙のための街頭演説中に銃撃を受けて死去したことに哀惜の意を表します。暴力によって人間の命を奪うことは、いかなる理由であろうと許されないことであり、極めて遺憾です。
しかしながら、7月22日、貴殿が安倍元首相の「国葬」(国葬儀)を閣議決定したことに対して、私たちは抗議します。そもそも、国葬について定めた「国葬令」は1947年12月31日に失効しており、国葬を執り行う法的根拠がありません。
貴殿は、安倍元首相の国葬を、「民主主義を断固として守り抜くため」としています。しかし、国葬は、国家が主催し、国費をもって実施する葬儀であり、国家から功績が評価された「偉人」への弔意を、国民皆に強いるものです。人の死を悼み弔うという内面的な営みに、国家が介入することは許されません。その意味で国葬は、憲法19条で保障され、民主主義の根幹に関わる「思想及び良心の自由」と矛盾します。
安倍政権下で国民を重要な情報から遠ざける「特定秘密保護法」や集団的自衛権の行使を容認する「安全保障関連法」が強硬採決され、「防衛装備移転三原則」が閣議決定されました。また、森友学園、加計学園、桜を見る会、世界平和統一家庭連合(旧統一協会)とのつながりなど、安倍元首相は解明が必要な問題を多く残しています。
従って、私たちカンバーランド長老キリスト教会は、安倍元首相の「国葬」に強く反対いたします。
2022年8月29日
カンバーランド長老キリスト教会日本中会
神学・社会委員会 委員長 関伸子
安倍晋三元首相の「国葬」決定抗議声明文(PDF形式でダウンロードできます。)